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ESG投資とは 仕組みやメリット・デメリットを解説

最近、金融の世界で注目されている投資として、「ESG投資」があります。

ESG投資は、従来の投資方法とは異なり、社会や環境問題の解決などに結びついています。

この記事では、ESG投資とは何なのか、仕組みや投資手法、メリットデメリットについて解説します。 

ESG投資とは

 

これまで投資家は、企業の営業利益やキャッシュ・フローなどの株価指標や財務情報をもとに投資判断を行ってきました。ESG投資とは、こういった財務情報に加えて、企業のESG活動への評価・分析をもとに投資を行うことです。

ESG投資の仕組み、7つの投資手法       

GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)によるとESG投資の主な投資手法としては、以下の7つがあります。

1.ネガティブ・スクリーニング

特定の業界を、投資先から除外する方法です。例えばESG投資と真逆の業界、健康に悪影響をおよぼす薬品やたばこ、気候変動と関係が深い火力発電や石炭などが挙げられます。

2、ポジティブ(ベスト・イン・クラス)・スクリーニング

ESG評価が高い企業に投資する方法で、従業員の対応やダイバーシティなどに積極的に取り組んでいるかが判断材料になります。

3、ESGインテグレーション

投資の対象を最初から絞るのではなく、既存の投資の判断基準に加えて、環境や社会などのESG評価を組み入れる方法です。

4、サステナビリティ ・テーマ型投資

持続可能性に特化した投資先、例えば太陽光発電による再生可能エネルギー事業などを選択して投資する手法です。

5.国際規範に基づくスクリーニング

国際規範として承認されている価値観をもとに、投資対象がその基準を満たしているかを判断して投資する方法です。

国際基準として、国際機関が定めた「国連グローバル・コンパクトの10原則 」などがあります。

6、インパクト・コミュニティ投資

環境保全や様々な社会問題の解決のために取り組みを行っている企業を投資対象とする方法です。

社会・環境に良い影響(インパクト)をもたらすことを目標とし、途上国での教育事業などが例として挙げられます。

7.企業エンゲージメント

ESGの方針に沿って株主の立場から企業と対話し、ESGの取り組みを行うように促す方法です。

株主の権利を用いて、情報の開示要求や議決権行使などがあげられます。

ESG投資のメリット

ESG投資のメリットとして、以下の2つが挙げられます。

  1. 長期の資産形成に適した投資
  2. 社会貢献に結びつく

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.長期の資産形成に適した投資

テクノロジーや急成長企業への株式投資やFXといった投資手法は、短期的に大きな利益を見込むことができます。しかしその分投資リスクも大きくなるため、短期投資に向いています。

反対にESG投資では、短期の大きな利益を目標とするのではなく、長期的な視点で安定した利益を目指す運用法となります。そのため、投資初心者や長期投資にふさわしい投資手法です。

また企業の長期経営でのリスクとして、経済や自然環境の変化、法律などの変更、労働や人権の価値観の変化、企業や消費者の購買行動の変化など、様々な変化が考えられます。そしてESGを推進する企業は、上記のリスクに対する対応力があるとされています。

実際に近年では、ESGに取り組まない企業には投資を取りやめる「ダイベストメント」という動きも起こってきています。例えばたばこや石油に関連する企業では、投資家がダイベストメントを行っています。ESGとは真逆の業界は、今後株価が下がっていく可能性があります。

2.社会貢献に結びつく

ESG投資を行うことで、投資をしつつも社会に貢献することができます。なぜならESG投資での投資対象は、環境や人権、貧困や労働などの様々なESGの課題解決に取り組む企業だからです。ESG投資は、社会問題解決に取り組む企業を応援することになります。

グリーンボンドと呼ばれる社債があり、その社債は環境配慮に特化した事業が資金を調達するための手段として発行されています。グリーンポンドの社債や投資信託を購入するだけで、環境に配慮した行動に結びつきます。

ESG投資のデメリット

今後拡大しつつあるESG投資ですが、以下のようなデメリットもあります。

  1. 短期のリターンは小さくなりがちである
  2. 投資先の選定には労力が必要
  3. 「グリーン・ウォッシュ」に注意            

それぞれについて、より詳しくみていきましょう。

1 短期のリターンは小さくなりがちである

一般的な投資では、リターンの大きさや効率を重視して投資対象を選びますが、ESG投資の場合は短期のリターンを目標とするよりも、ESGに取り組む優良な企業に投資する方法です。そのため、短期的にはリターンが小さくなる可能性があります。

ESG投資の中には従来の投資方法よりもパフォーマンスが高いものもありますが、リターンが大きいもののハイリスクな投資先よりも、リターンは小さくなりがちであることも念頭に入れておくと良いでしょう。

2 投資先の選定には労力が必要

従来の投資では財務情報の分析・評価をして投資を決めますが、ESG投資ではESG要素も加えて分析しなければならないため、個人で行う場合は手間がかかります。

通常の財務情報の分析・評価をするだけでも企業の財務や営業に関する知識が必要となりますが、ESG要素も含めて投資の判断をしなければなりません。

そのためこれまで以上に資料を探すなど、準備や作業に多くの労力がかかることが予想されます。

3 「グリーン・ウォッシュ」に注意

グリーン・ウォッシュとは、ESGの課題に取り組んでいないにも関わらず、あたかもESGに取り組んでいるかのように見せることです。

ESGに取り組むことは、企業にとって市場での高評価を得るために役立ちます。

そのため、表面上はESGに取り組んでいるように見せる行為のことをグリーン・ウォッシュと呼び、注目されています。

投資家から資金を集めようとして、企業の広報やウェブサイトでESGに関して誇張した情報発信を行っている企業も存在します。そのためESG投資の企業を選ぶ際は、一つの情報で判断せず、第三者機関など複数の情報をもとに判断することが求められます。

グリーン・ウォッシュと似たものとして、SDGsウォッシュがあります。SDGsウォッシュの記事はこちらで解説しています。

SDGsウォッシュとは?SDGsウォッシュと言われないために

まとめ                    

企業は今後、経済活動だけではなく、社会的責任を果たすためにESGにも積極的に取り組む必要があります。

ESGは、企業の評価や投資判断にも影響を与える要素となりました。

そのためESG投資は、グローバルで主流になるとみられています。

投資を行う際は、今後は財務情報だけではなくESGへの取り組みも考慮して判断しましょう。