起業を考える人が増えたことで、起業セミナーも多く開催されるようになってきました。中には「これって本当に大丈夫?」と疑ってしまうような怪しい起業セミナーもあるようです。だからといって、すべての起業セミナーが怪しいわけではありません。
本記事では、怪しい起業セミナーの特徴や起業セミナーが怪しいかどうかの見極め方についてまとめました。
目次
怪しい起業セミナーの特徴3つ
起業セミナーが怪しいかどうか見極めるために、まずは怪しい起業セミナーの主な3つの特徴をご紹介します。
精神論のみを語っている
起業の具体的なノウハウを語らず、「人生が変わる」など曖昧なうたい文句を出しているセミナーは要注意です。確かに起業を志す人の中には、自分の人生を変えるためにチャレンジしたいという思いを抱える人もいるでしょう。
しかしそのような思いを抱える人ほど「個々に参加すればすべてが変わる」というような曖昧なメッセージに流されがちです。精神論を語ること自体は悪いことではないですが、具体的な施策も持ち合わせていないセミナーは怪しいと言えるでしょう。具体的なノウハウが展開されていないセミナーには注意が必要です。
情報商材を売ることが目的
悪質な起業セミナーに参加した人の声の中には、参加費は無料だったけれど結局セミナーの中で高い商材を買わされた、という経験もあるようです。ネット上でどんどんと情報を追っていくうち、金額を要求されるがままに支払ってしまう、という事例も報告されています。
確かに情報には一定の価値がありますが、その商材を売ること自体が目的で、むしろ商材を売ることで収入を得ているような起業セミナーでは、起業したい人が求める情報はないかもしれません。
講師が怪しい
怪しいと感じる起業セミナーは、講師が信用できない人物である場合が大半です。経歴がパッとしない人物や、実績が見えにくく何をやっているのかわからないような人物が講師をしていると聞いても、自分が起業で成功するイメージは沸きにくいでしょう。
本の出版やメディアの露出、具体的な数字としての実績があるかどうかもチェックしてみましょう。
怪しいセミナーにありがちな違法行為
怪しい起業セミナーでは、一般人だと気づかないような違法行為がおこなわれていることもあります。違法とされている行為を4つご紹介しましょう。
目的を隠して勧誘する
よくあるのは、実は高額な商材を売るためのセミナーなのに、それを隠してセミナーに勧誘する行為です。「成功者のノウハウが学べるセミナー」などと紹介して高額商材の購入を促すような勧誘行為は、特定商取引法で禁止されています。
脅して行動を強要する
中には「ここまで聞いておいて購入しないということはないよね?」というように商品の購入を強要してきたり、ひどいときには借金を負わせて購入させたりするケースもあります。当然ですが、脅して無理に契約させたり購入を強要する行為は法律違反です。
また、洗脳して高額商品を買わせるような悪質なセミナーでは、近親者との関係を絶つように強制してくることもあります。本当に現状に悩んでいる人はセミナー関係者だけが味方だと思い込み、家族の言葉に耳を貸さなくなってしまうケースも多々あるので注意しましょう。
契約書なしで商品を販売する
対面でやりとりした場合、その場の勢いに流されて商材を買わされてしまうこともあります。セミナーで販売行為をおこなう場合、アポイントセールスに該当するため、企業はセミナーの参加者に契約書を提出しなければなりません。
さらには特定商取引法によって契約書には14の項目を記載することが定められているので、契約書を出さずに販売したり、項目のどれかひとつが欠けていたりすると法律違反になります。
無登録の業者による投資勧誘
投資のアドバイスなどでお金をもらう行為は、「金融商品取引業」に該当します。これは財務局などに事前に申請し登録しておく必要があり、登録がないまま投資の勧誘をおこなってはいけません。
金融庁のホームページには、すでに登録が完了している業者の一覧や、無登録で業務をおこなって金融庁から警告を受けている業者の一覧を見ることができるので、怪しいと感じたら自分で調べてみましょう。
怪しい起業セミナーへの対処法3選
自分が参加しようと思っている、あるいはすでに参加している起業セミナーが怪しいと感じたときの、3つの対処法をご紹介します。
行かない・クリックしない
怪しいと感じるセミナーを見つけたら、容易に行かないのがベストです。特にインターネット上では起業を志す人を誘うような文言も多く、セミナー参加のボタンをクリックするだけで参加表明できてしまうので、参加のハードルが下がっています。
興味本位で参加するのは構いませんが、あくまでも自己責任のもとで参加しましょう。本気で起業を考え悩んでいるときであれば、少しでも怪しいと感じたら行かない、クリックしないという選択が無難です。
法人名や書類を把握する
怪しい起業セミナーを見つけたり、参加してみて怪しいと感じた場合には、主催の法人名をチェックしておきましょう。悪質な行為をしている団体は、大抵の場合巧妙に法人名を隠していたり、名義を変えて複雑にしたりしています。法人名や団体名を把握したら、インターネットで検索してみてください。被害に遭った人の口コミなど悪いうわさが見つかることがあります。
また、セミナーで書類を入手する機会があればよく読んでみるといいでしょう。何か抜け穴があったり、法律違反になったりしていることがあります。専門家に相談するときには法人名や団体名、書類などが確実に武器になるため、しっかりと把握しておきましょう。
専門家に相談する
怪しいと感じたら、迷わず専門家に相談しましょう。悪質な起業セミナーは、金銭的な被害だけでなく洗脳などの精神的な被害につながることもあります。怪しい団体の摘発実績や、カウンセリングなどもおこなっている専門家に相談し、お金と心の両方を取り戻す必要があるでしょう。
まとめ
怪しい起業セミナーの特徴や、見極め方についてまとめました。冒頭で述べたように、すべての起業セミナーが怪しいわけではありません。重要なのは自分自身で怪しいかそうでないかを判断する力を身につけることです。
怪しいセミナーを見極める力をつけることは、自分の身を守るだけでなく、これから本気で起業を考えているのであれば必要になってくるでしょう。
もちろん、法律的なことや難しいと感じたら、素直に専門家の助言を得ることが大切です。