会員制ビジネス構築無料動画セミナーはこちらをクリック

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」は個人でも取り組める!

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」は個人でも取り組める!

SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」は、持続可能な生産と消費のサイクルを確保することが目的です。世界規模のスケールの大きい目標であり、大企業や自治体などしか取り組めないようにも感じます。

しかし実際には、SDGsの目標12は「個人」が与える影響がとても大きいのです。そこで当記事ではSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」の基本情報や求められる理由、個人でできること、取り組み事例などを紹介します。

SDGsとは持続可能な開発目標

地球を持つ手

SDGsとは、2015年に国連が定めた「持続可能な開発目標」のことです。貧困や環境、エネルギーをはじめとする「持続可能な世界」を実現するための「17の目標」で構成されます。その打ち立てた目標の達成期限は2030年です。

国連サミットで2001年に採択された「MDGs(エムディージーズ/ミレニアム開発目標)」が2015年に達成期限を迎えたために、その後継として新たに世界共通の目標となる「SDGs」が定められました。

一見すると「CSR(=企業が果たすべき社会的責任という意味)と混同しがちですが、SDGsとは概念自体が異なります。CSRは企業が「ビジネスではない部分」で社会貢献を実施しますが、SDGsは「ビジネスを通じて」社会課題の解決に取り組みます。SDGsは今後、その重要性をさらに高めていくことが予想されます。

SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」とは?

地球と木

SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」とは、具体的にどのような内容なのでしょうか。概要について解説します。

「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」がテーマ

SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」は、持続可能な「生産」や「消費」の形の確保を目指しています。つまり、使う資源を少なくしながらもより多くのものを得ていける生産や消費へと変えていこうということです。

人類は地球上の多くの資源・エネルギーを使用し、様々な製品やサービスを生産し、大量に消費しています。しかし、地球の資源やエネルギーには限りがあります。

そこで、使う資源を少なくしながらもより多くのものを得ることができる生産や消費へと変えていくことが求められています。

企業や自治体などが廃棄物の発生を抑えたり、リサイクルやリユースを推進したりするなどはもちろんのこと、地球全体で個人個人が持続可能な生産と消費の形を作っていくことを目指すためにSDGs目標12が策定されています。

具体的な11項目のターゲット

目標12のターゲットには次の11項目があります。

  • 12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する 10 年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。
  • 12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
  • 12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、 収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
  • 12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
  • 12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
  • 12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
  • 12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
  • 12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフ スタイルに関する情報と意識を持つようにする。
  • 12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
  • 12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
  • 12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境 への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

指標となるエコロジカル・フットプリント

目標12「つくる責任つかう責任」の達成を測る指標として「エコロジカル・フットプリント」が挙げられます。エコロジカル・フットプリントとは人類が地球に与えている「負荷の大きさ」を測るものです

人間が持続可能な生活を送るために必要な「土地面積」を数値化しており、その数値が大きいほど地球に与えている負荷が高いと言えます。先進国では大きくなり、途上国では小さくなる傾向が見られるのが特徴です。

例えば食品や繊維、木材などがあり、化石燃料を燃やすことで発生する炭素排出量は世界のエコロジカル・フットプリントの6割を占めています。

日本は「4.3ha/人」となっており、世界全体「1.8ha/人」と比べても地球に与える負荷が高く、特に東京・大阪・神奈川など人口が多い地域の負荷はさらに高くなっています。

日本は消費資源の多くを海外からの輸入に依存しており、そのために海外の資源や環境に負荷を与えていることにつながっているのです。

SDGs12が求められる理由

嵐によって倒れる木

なぜSDGs 12が求められるのでしょうか。2つの大きな理由について見ていきましょう。

エネルギーや資源枯渇の可能性

1つ目の理由として挙げられるのが、「エネルギーや資源枯渇の可能性」です。地球では多くの資源やエネルギーを利用して生産活動が行われています。そして、生産物を人類が大量に消費していくという流れを繰り返しているのです。

このような大量に生産して大量に消費する流れは、地球にとっては大きな負担となっています。現在の地球1個が作り出せる資源やエネルギーよりも、人類が消費するほうが大きく、1.5倍の消費活動が行われているのです。

この消費ペースが続くと、2030年には地球約2個分の消費に達するとされています。限りある資源を守るためにも、SDGs 12では持続可能な生産や消費を求めているのです。

食料不足による飢餓

もう1つの理由が「食料不足による飢餓」です。現在、世界では約8億人が飢餓状態にあるとされています。

2050年には人口が96億人に達すると予想されており、その際の食料需要量は約69億トンです。当然食料が足りるはずもなく、現在の約2.5倍となる20億人の人が飢餓に苦しむとされています。

そのような状況にもかかわらず、日本では食べ残しや賞味期限切れによって大量の食品が廃棄されているのが実情です。

廃棄される食料野菜や果物の割合が多く、水分含有量が多いため廃棄物として焼却処理する場合は多くのエネルギーが必要となります。

食品関連の二酸化炭素排出量は、全体の20%を占めています。今と同じライフサイクルを続けるのであれば、地球が3つ分必要だとされています。

SDGs 12では、大量生産、大量消費の中心である「食料」について、持続可能な生産と消費を求めています。

SDGs 12に対して個人ができること

ペットボトルのごみの山

SDGsは世界規模の大きな目標ですが、その達成のためには、わたしたちが各自で意識して行動していくことが不可欠です。SDGs 12の達成のために「個人」が取り組めることは普段の生活の中に多く存在します。今日からでも実践できる項目について見ていきましょう。

食品ロスやフードロスを減らす

まずは「食品ロスやフードロスを減らす」取り組みです。これらを減らすには

「食べ物を一度に買い過ぎない」
「食べ残しをしない」
「余った食材を有効活用する」
「賞味期限・消費期限が近いものから購入する」

などが挙げられます。そこで、もう少し細かな視点で見ていきましょう。

事業系廃棄物と家庭用廃棄物の意味

食品ロスやフードロスは事業系と家庭用に区分できます。事業系廃棄物は食品メーカーや飲食店など、食品を通して行うビジネスから捨てられる食品ゴミを指します。

具体的には、期限を超えた食品や規格変更などで撤去された食品、料理の食べ残しや売れなかった仕込みの食材などがあります。

一方、家庭用廃棄物は家庭から出る食品ゴミのことです。食べ残しや消費期限切れ、カットして捨てる端材などがそれにあたります。

個人でも「家庭用廃棄物」を減らすことで、食品ロスやフードロスに取り組むことは可能です。できることはないかを考えてみましょう。

賞味期限と消費期限は異なる

個人の食品ロスといえば「賞味期限」や「消費期限」が切れた食品の廃棄でしょう。この2つの期限には違いがあることはご存知でしょうか。この2つの違いを一人ひとりが正しく知るだけでも、食品ロスは低減できるとされています。

賞味期限はあくまで美味しい状態で食べられる期限であり、食べない方がいい期限ではありません。賞味期限は保存の効くカップめん、レトルト食品、缶詰などに記載しています。

一方、消費期限は保存が効かない生鮮食品やお弁当などに記載される期限です。こちらは腐敗が早いことから、食べない方がいい期限として表示しています。

衣類のリサイクルやリユースに回す

リサイクルやリユースにも気を配る必要があります。日本のリサイクル率は上昇傾向にあるものの、世界から見ればまだ低い状態です。自宅にある古い衣類やサイズが小さくなり着られなくなった衣類などは、積極的にリサイクルやリユースに回すようにしましょう。

ペットボトルのリサイクル

個人ではプラスチックのリサイクルも取り組みやすいでしょう。ペットボトルはリサイクル素材として何度でもさまざまな製品に生まれ変わることができます。

リサイクルを行う際は中身を飲み切るのはもちろんですが、キャップをはずす、ラベルをはがすといったことも忘れずに行いましょう。

ペットボトルをキレイな状態にし、分別を行うことで個人でも「リサイクル」に貢献することが可能です。

持続可能な商品かどうかを選んで購入

普段の買い物で価格や品質だけでなく、「持続可能かどうか」を基準として買い物することでも貢献できます。消費者が積極的に環境配慮された商品を選ぶことを「エシカル消費」と呼びます。

リサイクルマークなどを確認したり、有害廃棄物が含まれているかどうかも基準として取り入れたりしてみましょう。認証マークがついている商品は第三者機関が評価したもので、どのように生産されているかを知ることができます。例えば、「フェアトレード認証」「レインフォレスト認証」「FSC認証」「MSC認証」などがあります。

またSDGsに取り組む企業の商品を選ぶもことも貢献の1つの形です。

マイバッグやマイボトルの持参を習慣化

マイバッグやマイボトルの持参を習慣化することも個人の取り組みのひとつです。自信のライフスタイルに合ったマイバッグやマイボトルを積極的に利用することで、買い物袋や紙コップ、プラスチック製のストローなどの消費を抑制し、資源の無駄遣いを減らします。

個人でできることに関しては以下の記事で詳しく解説しています。

SDGsのため私たちにできること|身近で小さくてもできること7選

企業や自治体の取り組み事例

草原

最近では、多くの企業や自治体もSDGsの目標12への取り組みを開始しました。そこでいくつかの事例を紹介します。

富山県発信の「とやま食ロスゼロ作戦」

富山県は食品ロスの削減を目指し、「とやま食ロスゼロ作戦」という県民運動を始めました。富山県の農林水産部農産食品課の主導のもと、家庭や外食時の食べきりを推進や、小学校で食べ残しを無くすための食育運動に取り組んでいます。

地元農産物の消費を促す「茨城県つくば市」

茨城県つくば市はSDGsの目標達成を含めた「持続可能都市ヴィジョン」を2018年に掲げています。地元の農産物を使う「地産地消レストラン」の認定件数を増やすことで、地元の農作物の消費を促しているのです。

この取り組みはSDGs 12の達成だけでなく、耕作放棄地の問題や地域活性化にもつながっています。

リサイクル率35%を目標にする「石川県小松市」

石川県小松市は「SDGs未来都市計画」を策定し、一般廃棄物の排出量に占める資源回収量の割合を2017年の21.5%から2030年度には35%にまで引き上げるとしています。以前からスイカの皮の水気を切って捨てる習慣もあるなど、SDGs 12の達成へもともとの意識が高い地域といえるでしょう。

ごみの減量化やリサイクル、環境美化を通してSDGs 12に取り組む石川県小松市に注目です。

プラスチックゴミ削減へ取り組む「ネスレ日本株式会社」

お弁当やテイクアウト用の容器、ペットボトルなどの様々なものに使用されているプラスチックは、ゴミとして廃棄されることで大きな問題となっています。

ネスレ日本株式会社では2019年から、日本のチョコレート製品の中で最も販売量が多い「キットカット」の外側の包装を紙に切り替えています。さらに脱プラスチックを目指して2022年9月までに、ほぼすべての商品の外袋を紙に変更、個包装も含めて100%のリサイクル・リユースの実現に向けて取り組んでいます。

ペットボトルのリサイクルを進める「サントリーグループ」

サントリーグループでは、プラスチックごみに対して重点的に取り組みを行っています。

自社で製造しているペットボトルは、機能性を保持したままで軽量化し、ペットボトル使用料を削減しています。また使用済みのペットボトルを再利用するために、「ボトル to ボトルメカニカルリサイクル」という技術を日本で初めて実用化しました。

2030年を目途に、全てのペットボトルにリサイクル素材または植物由来の素材を使用し、化石燃料の使用をゼロにすることを目標にしています。

パッケージングの見直しを行う「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、食品ロスの減少を目的に商品のパッケージングの見直しをおこなっています。本当に必要な分だけ購入できるようにバラ売りを開始したり、廃棄物を自社農場の肥料にして育てた野菜や果物を販売したりするなど、「循環型農業」の実践を通してSDGs 12の達成に取り組んでいるのです。

クラウド化を進める「安田産業グループ」

安田産業グループではSDGs12の達成に向けて、これまで共有していた書類や紙媒体をクラウド化しました。また社内の会議では電子黒板を採用するなど、紙の使用量削減に積極的に取り組んでいます。

起業の取り組み事例は、こちらでも解説しています。

SDGsアクションプランを解説!企業や個人にできることは何か

SDGs 12は個人の意識や行動の変容が重要

地面に置かれた地球の模型

ここまでSDGs 目標12「つくる責任つかう責任」の基本情報や求められる理由、個人でできることなどを解説しました。2030年に今と変わらない生活を維持するためには、地球1個分の資源やエネルギーが不足している現状をお分かりいただけたでしょうか。

今後はSDGs 12の目標達成するためにも「エコロジカル・フットプリント」をどう削減し、持続可能な地球へと変化させていくかが重要です。そのためにも、まずは日本の環境から変化する必要があります。

さらには個人個人が地球環境への負荷を減らす取り組みをすることでやがては大きな成果へとつながるでしょう。SDGs 12では個人の意識や行動の変容を求められています。