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SDGs Goal 8:働きがいも経済成長も。達成するためには?

テーブルの上でこぶしをぶつけ合う

SDGsの17のゴール、8番目は「働きがいも経済成長も」です。

SDGsで定められているゴールは、すべて地球上で起きている問題が背景にあります。8番目のゴールはどのような課題から生まれた目標で、どのように向き合うことで解決されるのでしょうか。

この記事ではSDGsのゴール8「働きがいも経済成長も」についてまとめました。SDGsへの取り組みのひとつとして、是非検討してみてください。

SDGsってどんな取り組み?

SDGSと書かれたブロックと黄色いボール

最初に、SDGsとはどのような取り組みなのかを簡潔におさらいしておきましょう。

国連が定めた17の目標と169のターゲット

SDGsはSustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」と翻訳されています。今ある諸問題を解決し、その状態を持続させていくのがSDGsの理想のゴールです。2015年に採択され、すべての目標は2030年までに達成することを世界全体でコミットしています。

日本での取り組み

日本でも政府主導で企業や地域を巻き込んだSDGsへの取り組みを実施しています。代表的なものとしてはジャパンSDGsアワードの創設やSDGsアクションプラン、SDGs未来都市の選定などが挙げられるでしょう。

ジャパンSDGsアワードはSDGsの取り組みをおこなっている企業の中でも特に優秀であったり、貢献度の高かったりする企業を表彰しています。2019年におこなわれた第3回目では、過去最多となる378の企業・団体が応募しました。

SDGsアクションプランは、3つの柱を掲げて「日本のSDGsモデル」の展開を加速させていくことを目的としています。国内実施・国際協力の両面において政府によって実施される具体的な取り組みが盛り込まれているものです。

SDGs未来都市は、SDGsに貢献する取り組みをおこなっている自治体を公募し、優秀な取り組みをおこなっている自治体を毎年約30団体選出しています。公募団体数は2018年当初は55自治体でしたが、 年々増加し2020年には77自治体に増えました。

SDGsのgoal 8:働きがいも経済成長も

パソコンで作業をする女性

SDGsの8つ目のゴール、「働きがいも経済成長も」の達成目標とそのために必要な行動をご紹介しましょう。
外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html)に掲載されている、SDGs概要の翻訳から抜粋しました。

10個の達成目標

8-1:各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率 7%の成長率を保つ。
8-2:高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
8-3:生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
8-4:2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10カ年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
8-5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
8-6:2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
8-7:強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
8-8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
8-9:2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
8-10:国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。

外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html)

児童労働問題や、雇用環境の改善に向き合うことがゴール8達成への必須課題です。

ゴール8に関連する問題には先進国も関わっています。事例を挙げると、ナイキが子どもにボールを縫製させている写真が流出したことや、ユニクロの労働環境の悪さが批判を浴びました。

また国によっては少年の強制徴兵や奴隷制、人身売買といった非人道的な行為がおこなわれていることも、残念ながら少なくありません。そうした境遇に陥る人をなくすことが、ゴール8の達成といえるでしょう。

一方で起業や中小企業発展の支援、地方の雇用創出といった新たな労働環境を生み出すことも達成に不可欠です。ゴール8の達成によって、誰もが健全に働き、経済活動が健全に活発化する社会が実現するでしょう。

達成に必要な2つの行動

8-a:後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
8-b:2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html)

拡大統合フレームワーク(EIF)は、開発途上国の発展や貧困をなくすために貿易をつかって支援していくことを目的とした、国同士のパートナーシップです。また、ILOは 国際労働機関で世界中の幅広い労働問題に取り組んでいます。若年雇用問題を解決するために、各国の児童労働条約の修正や基本的な社会保障制度の実施などに取り組み始めているのです。

SDGsのgoal 8はなぜ必要?世界の現状

工場で働く労働者たち

SDGsのゴール8はなぜ必要なのでしょうか。ゴール8が設定された背景にある世界の現状をご紹介しましょう。

若者で5人に1人は仕事に就けない

2018年時点で見ても、15~24歳の若者のうち5人に1人はまともな教育や職業訓練を受けることができず、仕事にも就けないという現状があります。

人生のうちでももっとも経験や知識を吸収し自分のスキルアップにつなげられる若いときに仕事に就けないと、その後の人生に大きな影響を与えます。若いときにしっかりとした仕事に就けない若者が増えれば、これから先の世界経済に大きな打撃を与えることになるでしょう。

失業率の増加

2008年のリーマンショック以降、世界的に見ても経済状況は低迷しており、失業率は急増しました。日本でも2009年には有効求人倍率の最低記録を打ち出しています。

2016年にはわずかに回復傾向にあったものの、2020年には新型コロナウイルスの影響もあり、失業率は再び上昇傾向にあるようです。

SDGs goal 8を達成するための取り組み

空に向かってガッツポーズ

SDGsのゴール8を達成するために、具体的にどのような取り組みが必要とされるのでしょうか。

ディーセント・ワークの実現

国際労働機関ILOは、「全ての人にディーセント・ワーク – Decent Work for All- 」の実現を目指しています。ディーセント・ワークとは「働きがいのある人間らしい仕事」のことで、1999年に初めてその言葉が登場してから、ILOではインフラ開発や貧困削減を実現する雇用集約型投資や、工場の労働条件を改善するベターワークといった活動を続けてきました。

4つの戦略目標

ディーセント・ワークの実現には4つの戦略目標があり、実現には4つの目標に基づいた取り組みが必要とされています。

1:仕事の創出 – 必要な技能を身につけ、働いて生計が立てられるように、国や企業が仕事を作り出すことを支援
2:社会的保護の拡充 – 安全で健康的に働ける職場を確保し、生産性も向上するような環境の整備。社会保障の充実。
3:社会対話の推進 – 職場での問題や紛争を平和的に解決できるように、政・労・使の話し合いの促進。
4:仕事における権利の保障 – 不利な立場に置かれて働く人々をなくすため、労働者の権利の保障、尊重

ILO公式ホームページ(https://www.ilo.org/tokyo/about-ilo/decent-work/lang–ja/index.htm

日本でできる取り組み

日本では、日本労働組合総連合会によって8つのチェック項目が設けられています。

1:安定して働く機会がある。
2:収入は十分(生活し、今後に備えて貯蓄ができる賃金)である。
3:仕事とプライベート(家庭生活)のバランスが取れている(長時間労働に苦しんでいない)。
4:雇用保険、医療・年金制度に加入している。
5:仕事で性別 (女性だから、男性だから)、性的指向・性自認 による不当な扱いを感じることはない。
6:仕事で身体的、精神的危険を感じることはない。
7:働く人の権利が保障されていて(組合に入れる、作れる、会社と交渉できる)、職場での相談先がある。
8:自己の成長、働きがいを感じることができる。

日本労働組合総連合会(https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/kokusai/decentwork/

1つでもあてはまらない項目があれば、その仕事はディーセント・ワークではないかもしれません。自分の仕事について見直してみてもいいでしょう。

【実例】日本郵政株式会社

日本でSDGsのゴール8達成に貢献している実例のひとつに、日本郵政株式会社が挙げられます。

重点課題に「人材育成」と「働き方改革」を掲げ、従業員の研修の充実や健康保持・増進、女性管理職の登用や障がい者雇用の促進などを積極的におこなっているのです。

まとめ

街

SDGsのゴール8についてまとめました。

「働きがいも経済成長も」は世界各国で働く環境を整え、より多くの人が人間らしい仕事をできるようにしていくことが課題となっています。課題の解決には規則を変えることや雇用する側の認識を改めることはもちろん、いま働いている人たちが働きやすい制度を充実させることも有効な施策となるでしょう。

是非、普段の身近な職場から見直してみてくださいね。