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ミシュラングリーンスターとは?サスティナブルな取り組みを推進するもの。内容や認定店を紹介

グラスを持つ人のイメージ

ミシュラングリーンスターとは、ミシュランが新設した評価基準です。お店のサスティナブルな取り組みを評価し、日本では全国で39店が認定されています。

今回は、ミシュラングリーンスターの内容やサスティナブルの意味、認定を受けた店について紹介しましょう。

ミシュラングリーンスターとは?

レストランのテーブルのイメージ

ミシュラングリーンスターとは、世界的に有名なグルメガイド「ミシュラン」が新設した評価基準のことです。

ミシュランではお店の評価を星でつけていますが、サスティナブルな取り組みを行っている飲食店に対して新たに「ミシュラン グリーンスター」を付与するようになりました。

ミシュランが飲食店の評価項目に「サスティナビリティ」を追加したのは、SDGsや環境への配慮が社会全体で求められているなかで当然のことといえます。

フードロス(本来食べられる食品を捨てること)の削減やプラスティック製品の使用削減など、飲食店ができる環境への取り組みを評価するもので、東京をはじめ、各地の「ミシュランガイド2021」に掲載されています。ここではまず、ミシュラングリーンスターの内容について紹介します。

「ミシュランガイド2021」で新設

ミシュラングリーンスターは、ミシュランガイドの2021版で新設された評価基準です。

ミシュランガイドは、フランスのタイヤメーカーが1900年に発行したグルメガイド。日本では2007年に評価対象になり、「ミシュランガイド東京」が刊行されました。ミシュランでは料理カテゴリーに関係なく、世界共通で5つの基準を設けています。

  • 素材の質
  • 調理技術の高さと味付けの完成度
  • 料理の独創性
  • コストパフォーマンス
  • 常に安定した料理全体の一貫性

判断される対象は、サービスではなく料理のみです。認証は、本や雑誌、SNS、業界の評判、口コミなど、編集部に寄せられたあらゆる情報をもとに行われ、次のように一つ星から三つ星まで3段階の評価がつけられます。

  • 一つ星:その料理部門では特に優れている料理
  • 二つ星:遠回りしてでも訪ねる価値のある料理
  • 三つ星:そのために旅行してでも味わいたいすばらしい料理

グリーンスターはこれら料理の基準とは別に、飲食店のサスティナブルな取り組みを評価したものです。

サスティナブルな取り組みを評価

ミシュラングリーンスターは2020年10月に発売された「京都・大阪+岡山版」から導入され、12月にはグリーンスターに認定された6件が掲載された「ミシュランガイド東京2021」が発行されています。

ミシュランガイドとは異なり、星ではなく「クローバーのエンブレム」が飲食店に付与されます。

日本ミシュランタイヤ公式サイトによると、グリーンスターの評価指針は4つあります。

・フードロスを減らすための料理や調理法、食材の仕入れを行っている

・森林活性化に寄与した取り組み、絶滅危惧種の保護など

・輸送費を減らすために、地産地消の食材を使用している

・プラスティック製品は使用しないなど、環境へ配慮した取り組み

上記のような、飲食店の立場からできるサスティナブルな取り組みを評価するもので、料理の評価とはまったく別の基準です。調査員による実地調査やアンケート、聞き取り調査などにより決められています。

ミシュランガイドの調査員について

ミシュランガイドやグリーンスターの評価を行う調査員は、全員が日本ミシュランタイヤ株式会社の正社員です。

ミシュランは世界で統一された評価基準でリサーチや評価を行うため、調査員は事前にフランスでトレーニングを受けなければなりません。

ミシュランの調査といっても覆面調査であり、一般客と同じように予約・支払いを行って調査員が入店します。

調査員や編集長、総責任者の合意により選出された飲食店が、一冊の本に掲載されます。

そもそもサスティナブルとは?

芽を出しているイメージ

サスティナブルとは英語の「sustainable」からきた言葉で、「持続可能」という意味です。人や社会、地球環境の持続可能な発展を目指す言葉として用いられるようになりました。

これは地球環境を維持する考え方で、国連も目標に掲げています。ここでは、サスティナブルの内容や、それがどのようにミシュラングリーンスターの評価となっているのかを見ていきましょう。

地球環境を維持する考え方

「持続可能」という意味のサスティナブルは、地球環境を維持する考え方として用いられています。環境を壊さず、資源も使いすぎずに地球環境を守るという意味です。未来もずっと美しい地球で暮らすため、「サスティナブルな社会」の実現が目標にされています。

しかし現実には、地球温暖化や人口急増など、地球が抱える問題は少なくありません。サスティナブルな社会は、世界規模で取り組むべき課題と認識されています。

国連も目標に掲げる

地球が抱えるさまざまな問題を受けて、2015年国連は「SDGs」を採択しました。「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」という意味で、豊かさを追求しながらも、地球環境を守ることを目指します。

国家や企業、個々人が2030年までにサスティナブルな社会を実現することを行動目標に、目標達成に向けて取り組みを行っています。

持続可能なガストロノミーが評価される

ミシュラングリーンスターで評価されるのは、持続可能なガストロノミー(美食)を実践する、献身的で革新的な取り組みです。

例えば、「厨房にレンガを使った薪窯を作ってガスの使用量を減らす」「絶滅が危惧される食材は使わない」といった取り組みが評価されています。

食材の生産から調理法、経営方針に至るまで、持続可能性との結びつきがあるかどうかが評価のポイントです。

 

SDGsの基本について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります

SDGsをよく知るために!イメージしやすい「5つのP」とは何か? | 会員制ビジネスマーケテイングラボ (fan-make.com)

 

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ミシュラングリーンスターに選出された店

テーブルの上のサラダのイメージ

日本でミシュラングリーンスターに認定されたのは、東京や北陸などを中心に39店です。カテゴリーはさまざまで、東京の6店はほとんどフレンチというのが特徴です。

一方、京都と大阪は日本料理のみ。10店と最も多い石川県はスペイン料理やイノベーティブなど、バラエティに富んでいます。それぞれの地域で選ばれたお店について紹介しましょう。

1.東京はフレンチを中心に6店

「ミシュランガイド東京 2021」でミシュラングリーンスターに認定されたのは6店です。

イノベーティブの「Narisawa」(外苑前)以外はすべてフレンチ。このうち、渋谷の「LATURE(ラチュレ)」は2016年にオープンしたレストランで、ジビエ料理に力を入れていて、シェフ自ら狩猟もしています。

近年イノシシや鹿、クマが増えすぎて森林が荒れている被害を解決するために、狩猟が行われています。

そして通常とらえられた動物の大半は捨てられてしまいますが、「LATURE」ではそれらの肉を使用したパイ料理などをお店で提供しています。

動物や植物に命を分けてもらって食とすることに高い意識を持ち、自然派のトラディショナルなフランス料理のお店です。

Narisawa 公式ホームページはこちら
LATURE 公式ホームページははこちら

2.京都と大阪は日本料理

京都は5店、大阪は2店認定され、どこも日本料理店です。このうち、「和久傳」は高台寺と烏丸御池の2店舗でノミネート。創業地の京丹後で無農薬栽培の米作りをしています。

料亭で提供したあとの蟹殻は水田にまき、養分として土に還元。田植えや稲刈りは従業員も手伝い、収穫した米は各店舗で使用します。
地元に森を蘇らせるため植樹をして「和久傳ノ森」を作るなど、サスティナブルな取り組みを行っています。

和久傳 公式ホームページはこちら

3.富山はイノベーティブなど多彩

富山で認定された店は、日本料理やフレンチ、イノベーティブなど7店です。なかでも、南砺市利賀村のフレンチ「レヴォ」はゲストハウスを併設するレストランで、周りは秘境ともいえる大自然に囲まれています。

真に地産地消を追求し、土作りからこだわり自ら手塩にかけた四季折々の食材を提供しているのが特徴です。雄大な自然の中で、前衛的地方料理が味わえます。

レヴォ 公式ホームページはこちら

4.石川はスペイン料理など10店を認証

石川県は10店舗と、ミシュラングリーンスター認定店が最も多い地域です。能登半島からは5店を選出。豊かな自然から生まれる食材に惹かれて移住したシェフが多く、サスティナブルな取り組みをしやすい環境ともいえるでしょう。

七尾市で選ばれたイタリアンの「ヴィラ・デラ・パーチェ」も、能登の魅力に惹かれて開店したレストランのひとつ。肉や魚、野菜のすべてが揃う能登で、ローカルガストロノミーを追求しています。

グリーンスターの評価基準である地産地消に取り組み、県内の生産者と協力して、地元の農業や漁業の将来やサスティナビリティのために取り組みを行っています。

海辺の一軒家レストランで、七尾湾を眺めながら食事ができるのが特徴です。自然の恵みを活かした「ここでしか食べられない料理」が堪能できます。

ヴィラ・デラ・パーチェ 公式ホームページはこちら

5.福井はフレンチと薪火料理

福井県はフレンチと薪火料理の2店が選ばれています。薪火料理の「ラ クラルテ」では県産の薪木を使用した薪オーブンを使用し、サスティナブルビーフを提供。薪木を燃料に約300℃まで上昇させることで、どんな食材も美味しく仕上げます。

自家製の生ハムや石川県能登豚の自家製ソーセージなど、オーナーシェフが厳選した素材を丁寧に調理。料理は地元のケヤキを使ったプレートで提供しています。

生ゴミを窯の残り火で炭にして農業で再利用したり、増えすぎて余っている県産の杉をお店の内装に使うなどして森林のサスティナビリティに貢献しています。また、越前の伝統工芸品を使用し、地域の魅力を伝える発信も行っています。

ラ クラルテ 公式ホームページはこちら

6.岡山はイタリアンやうどん店も

岡山は日本料理やイタリアン、フレンチなど8店が認証されています。このうち瀬戸内市の「一文字うどん」は、小麦から自社の田んぼで育てているうどん店です。

日本の伝統食であるうどんの多くに輸入小麦が使われていることに疑問を持った店主が、日本全国を探し回って選び抜いた「しらさぎ小麦」を使用しています。

小麦作りは無農薬栽培で、合鴨農法を取り入れています。小麦は「石臼製粉機」を使って一粒を丸ごと挽いていき、胚芽や表皮など小麦の持つ本来の恵みがそのまま含まれているのが特徴。天ぷらや郷土料理などはすべて地元の食材を使い、地産地消を徹底しています。

一文字うどん 公式ホームページはこちら

まとめ

森の中の食事のイメージ

ミシュラングリーンスターは、地球環境を守るというサスティナブルな取り組みを評価する新しい基準です。

サスティナブルは、多くの危機に直面している地球環境を維持するために世界規模で取り組みが行われているもの。食の世界でサスティナブルを推奨していこうとするミシュラングリーンスターからは、今後も目が離せないでしょう。