SDGs検定があるのをご存知でしょうか。英語検定や漢字検定のように、SDGsの知識を測る検定試験があります。近年「SDGs」が注目されるようになり、企業のESG投資への対応の必要性などからも、人気が上昇している検定です。
ちなみにESG投資について簡単に説明すると、「環境」「社会」「企業統治」の3つを重視している会社を選別して決める投資のことです。ESG投資では、会社が行っている事業の社会的意義や成長の持続性などをチェックして投資を判断します。
SDGs検定は英検や漢検と同じように就職・転職に有利なのか、受験するメリットや検定の難易度について詳しく解説します。
SDGs検定はどんな資格?概要をご紹介
ここからは、 SDGs検定の主催者や目的、内容といった概要をご紹介します。
SDGs検定は、一般社団法人SDGs推進士業協会が実施している検定試験です。まだ始まったばかりの検定試験ですが、第1回の開催が2019年10月20日、2020年2月9日に第2回と比較的短いスパンで実施されています。
同年6月に予定されていた第3回検定試験は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い11月15日に延期したものの、無事に開催されたようです。
SDGs検定の主催者
SDGs検定を実施している一般社団法人SDGs推進士業協会は、弁護士や公認会計士といった有識者の人達によって結成された、SDGsの普及・推進を目的とする団体です。
SDGs検定の目的
SDGs検定の目的は、より多くの人がSDGsに関する関心や知識を深める場を提供することにあります。SDGsの認知度が高まってきたとはいえ、まだ詳しくは理解できていない人も多いのが実情です。
国連で定められた目標であるSDGsの基礎知識や理解、世界規模の課題や取り組みに対する幅広い知識を身に着けるための検定です。
身近な目標として、食品ロスや女性の社会進出などがあります。
また検定を通じ、単純に認知を広める「横の広がり」だけでなく、知識を深める「縦の広がり」も進めていくのが目的になります。
SDGs検定の内容
検定時間は90分、回答形式はマークシート形式で、2020年12月時点では、パソコンからの受験となっています。
内容はSDGsの基礎知識はもちろんのこと、実際に世界で起きている課題や企業が行っている取り組み、それらに関する幅広い知識などです。問題数は35問程度で、70%以上正解できれば合格です。
SDGs検定の難易度
出題内容はSDGsの基礎知識とそれに関する応用問題となり、SDGsの歴史や17の目標と169のターゲットに関するものから、実際に起きている世界の問題に対しSDGsの17のどの目標が解決に導けるかといったものまで、SDGsに関連する全般が出題範囲といってもいいでしょう。
そのため、難易度はかなり高いといえます。試験問題を持ち帰りできない上に、2019年に始まったばかりのため過去問題も出回っていません。世界で起きている問題については日々アップデートされているため、日ごろからアンテナを広げて、古い情報から最新の情報まで頭に入れておく必要があります。
SDGs検定のメリット
難易度の高い検定であればやりがいもあるものですが、そもそもSDGs検定を受けることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
SDGsの知識が深まる
当然ですが、SDGs検定の目的は受検者がSDGsに関する知識や見解を深めることにあります。受検のために勉強すれば自然とSDGsに関する知識は深まり、応用問題に答えられるようになるでしょう。SDGsに関する理解も深めるきっかけになるかもしれません。
知識の習得により、普段の生活でSDGsを意識した生活、例えばフェアトレード製品を購入したり、食品の廃棄を出さないような意思決定などができるようになります。
資格の取得も大切ではありますが、一人ひとりが地球環境に配慮することでSDGsの達成に貢献することにつながるのです。
仕事の幅が広がる
受検することで、仕事の幅が広がる可能性があります。SDGsに関連する応用問題に答えることで、実際の社会では自分が何をすべきかが見えてくるでしょう。
また、検定資格を持っていることは、SDGsに関する知識がある証ですので、SDGsに関する仕事を任せてもらえる機会が増えるきっかけにもなります。企業の部署であれば、IRやCSRといった部署で活躍が期待できます。SDGsプロジェクトのコアメンバーに入れるなど、新たな仕事のフィールドが開ける可能性もあるでしょう。
社外での交流の機会がもてる
日本ではSDGs経営の普及率は低く、改善の余地があります。そのため企業内部だけではなく、様々な企業が連携してセミナーやワークショップが開催されています。
通常は関わる機会のない社外の人々や異業種の人達と、SDGsという共通の話題で交流する機会を持つことができます。
就職・転職に有利な資格?!
SDGs検定は、就職や転職にも有利になるのでしょうか。現時点では検定の実施回数が少なく、合格者も少ないため一概にはいえませんが、令和のビジネス社会においてSDGsに関する知識をもつ人が重宝されるのは間違いないでしょう。国連主導ということもあり、日本政府も企業に対しSDGsへの取り組みを推進しているからです。
企業でも上の世代の人たちは、「SDGsに取り組むように言われているけれど、正直何から手をつけたらいいのかわからない、これから新しく学ぶ余力もない」と考えている人は少なくありません。そういう人たちにとって、SDGsの知識があることの証であるSDGs検定の資格は、プロジェクトを任せやすくありがたい人材です。就職・転職でも優先的に採用される可能性は大いにあります。
SDGs検定の申し込み方法
SDGs検定は、検定の公式ホームページから申し込むことが可能です。
受検資格は特に設けられておらず、年齢・学暦・国籍・性別による制限は一切ありません。申し込み費用は税込み5,500円で、申し込み時に支払います。
合格通知は開催月の翌月上旬にメールによって通知されます。メールアドレスは合格通知だけではなく、申し込み時に登録するIDやパスワード、Web試験の場合の試験URLなどを送るのにもつかわれるため、検定のメールが誤って迷惑フォルダに振り分けられたりしないよう、設定を見直しておきましょう。
SDGs検定の難易度は?
SDGs検定の難易度はやや高く、これまでの合格率の平均をみると20~30%程度となっています。
試験問題を持ち帰りできない上に、2019年に始まったばかりのため過去問題も出回っていません。世界で起きている問題については日々アップデートされているため、日ごろからアンテナを広げて、古い情報から最新の情報まで頭に入れておく必要があります。
SDGs検定合格の3つのヒント
1.試験の過去問題について
SDGs検定の過去問題は、公式サイトで公開されています。ただし掲載は16問程度のため、試験対策というよりもどういった問題が出るかの参考にしてください。
2.検定試験の出題傾向
出題範囲については、公式サイトに掲載されています。
1SDGsとは
2 SDGs採択までの歴史や現在の動向
3SDGsの内容(17のゴールや169のターゲットなどに関する事項)
4世界の課題を知る
5環境問題のみならず、世界の貧困・飢餓・福祉などの課題をSDGsの17のゴールと関連させて出題
6誰がSDGsに取り組むのか
7SDGsのゴールを誰がどのように取り組んでいくのかについて、SDGsの基本的理解をしたうえで、応用力を試す出題
引用サイト:一般社団法人SDGs推進士業協会 | SDGs検定を開催します
基礎知識の問題数が6割、応用問題が4割の構成となっており、全問マークシートの問題です。5と7に関しては応用問題で、対策賀しづらい範囲です。
3.参考図書と「アジェンダ2030」を徹底的に読む
試験問題は、参考図書や「2030アジェンダ」からも出題されます。特に「2030アジェンダ」は、繰り返し読んで内容を理解しておきましょう。参考図書と「2030アジェンダ」の詳細については、次で詳しく解説します。
SDGs検定の勉強におすすめのテキスト
過去問題が展開されていないSDGs検定の対策として、SDGs検定の合格者がおすすめする5つのテキストをご紹介しましょう。
我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(仮訳)
国連におけるSDGsの原典ともいえる資料です。外務省によって翻訳されたものが無料で公開されており、国連連合広報センターのホームページでダウンロード可能となっています。SDGsを学び、実践に活かしていくうえでは必要不可欠な資料といえるでしょう。
SDGsビジネス戦略 企業と社会が共発展を遂げるための指南書
タイトルのとおり、企業がビジネスとしてSDGsに取り組んでいくためにどうすべきかを丁寧に教えてくれる本です。SDGs検定が推薦する図書のひとつでもあります。検定に活かせるのはもちろん、実際に企業の中でSDGsに取り組んでいくときに一度は読んでおきたい一冊です。
17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」
こちらも国連本部のWebページに記載されています。17の目標に関連する数字や事実を簡潔にまとめた資料で、SDGsをより身近に、リアリティをもって感じられるようになるでしょう。
SDGsの基礎 SDGsに取り組む全ての方に向けた必読書
検定でも推薦されている書籍で、SDGsの基礎から始まり、なぜ達成する必要があるのか、なぜ企業が取り組む必要があるのか、といったSDGsに取り組む意義にまで踏み込んだ一冊です。
2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望
図や表を多用し、SDGsをよりわかりやすく、且つ誰もが自分ごとにとらえやすいように工夫された本です。SDGsの基礎基本を解説している内容ではありますが、基礎に忠実である一方著者の見解が色濃く反映されているという点でも、他4冊とは一線を画した書籍といえるかもしれません。
まとめ
今回はSDGs検定についてまとめました。
SDGs検定は、より多くの人がSDGsを幅広く、さらに奥深くまで知り、自分ごととしてとらえ実践していくために必要な知識を養える検定です。これからの時代、就職や転職にはもちろん、仕事の幅を広げていくうえでも有利にはたらくことは間違いありません。
しかし、他の検定のような資格のための検定というより、SDGsについてより理解を深めるための検定という一面が強いです。SDGsについてより深く知り、令和の時代に貢献していきたいという思いのある人は、是非受検してみてください。