ジャパンSDGsアワードという賞があることをご存知でしょうか。SDGsに関する取り組みをおこなっている企業・団体を募り、特に優れた活動をおこなっているとして選出された企業・団体に贈られる賞です。
ジャパンSDGsアワードの詳細や、受賞のメリット、受賞するコツや応募方法などを、これまでの開催内容をもとにまとめました。
目次
ジャパンSDGsアワードとは

ジャパンSDGsアワードは2017年6月に創設が決まった、政府主導のコンテストです。具体的にどんな賞なのか、基本情報をまとめました。
主催団体
ジャパンSDGsアワードを主催しているのは、SDGs推進本部です。本部長を総理大臣、副本部長を官房長官と外務大臣が務めています。2015年にSDGsが採択されたことを受け、国内実施と国際協力の双方から日本でのSDGs推進の基盤を整えるべく、SDGs推進本部が設立されました。
開催の目的
SDGsに関する優れた取り組みをおこなっている企業や団体を表彰し、SDGs関連事業への興味関心を高めることが目的です。それにより、最終的に日本国内でのSDGs達成につながります。2017年からはじまり、毎年1回開催されています。
賞の種類
ジャパンSDGsアワードの賞の種類は、4つあります。
1, SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞
最優秀賞であり、1年の中で最も優れた功績があったと認定される企業や団体に付与されます。
2, SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞
際立った功績があったと認定される企業や団体に対し、内閣官房長官から贈られる賞です。
3, SDGs推進副本部長(外務大臣)賞
外務大臣から贈られる賞で、際立った功績があったと認定された企業や団体に付与されます。
4, SDGsパートナーシップ賞(特別賞)
その他、注目すべき功績があったと認定された団体に付与されます。
応募条件は日本に拠点のある企業、NPO・NGO、地方自治体、学術機関、各種団体であり、SDGsに関連する取り組みをおこなっていること。これまでの受賞結果を見ると、民間企業や地方自治体はもちろん、地域の商店街や小学校なども含まれており、年齢やその他の制限はないことがわかります。
応募対象と応募団体数
応募条件は日本に拠点のある企業、NPO・NGO、地方自治体、学術機関、各種団体であり、SDGsに関連する取り組みをおこなっていることです。
これまでの応募団体数ですが、公表されているのは第1回目として開催された2017年で、280(社・団体)でした。
2018年、2019年、2020年共に、応募総数は非公表となっています。
続いて応募対象はどんな企業や団体なのか、参考として2020年の受賞結果をみていきましょう。
・2020年の受賞結果
SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞 |
みんな電力株式会社 |
SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞 |
1.北海道上士幌町 2.青森県立名久井農業高等学校 環境研究班 |
SDGs推進副本部長(外務大臣)賞 |
1.特定非営利活動法人Support for Woman’s Happiness 2.特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス |
特別賞(SDGsパートナーシップ賞) |
1.長野SDGsプロジェクト 2.一般社団法人Waffle 3.富士通株式会社 4.ふくしま未来農業協同組合 5.株式会社エムアールサポート 6.阪急阪神ホールディングス株式会社 7.川崎市立平間小学校 8.株式会社キミカ |
受賞結果を見ると、民間企業や地方自治体はもちろん、小学校なども含まれており、年齢やその他の制限はないことがわかります。
ジャパンSDGsアワード受賞のメリット

ジャパンSDGsアワードを受賞すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。実例もチェックしてみましょう。
取材や講演のオファーが増える
SDGsはいまや世界中で注目されている取り組みですが、日本ではまだまだ認知は甘く、SDGsとは具体的に何をすべきなのか知りたいと思う人は多いでしょう。そのため国内メディアもSDGs関連の話題には敏感です。
SDGsアワードを受賞すれば、政府から優秀なSDGsの取り組みをおこなっていると認定されたことになるわけですから、SDGsについてもっと知りたいという人やメディアからの取材や講演依頼が増えることが予測されます。実際に、メディアに取り上げられた団体も少なくないようです。
企業の好感度が上がる
受賞すればメディアから取材されることはもちろん、外務省をはじめとする政府系の関連機関のWebページなどに掲載されることもあります。企業団体のイメージアップとして効果的であることは間違いないでしょう。
特に日本ではまだSDGsの取り組みに二の足を踏んでいる団体も少なくないため、SDGs達成に向け積極的に動いていることは、先進的かつ環境に配慮した企業・団体であるということで好感度もあがります。
SDGsへの理解が深まる
SDGs達成に向けた取り組みは、実際のところこれといった正解はありません。「これをやれば必ず達成する」といった明確な道筋はなく、各々が解決策を見つけ出していくものです。ジャパンSDGsアワードを受賞できれば国に認められたことになりますから、SDGsに対する理解が深められたと自信につながるのではないでしょうか。
たとえ受賞できなくても、応募するために試行錯誤することでSDGsに対する理解が深まり、自社の課題にも気づけるはずです。
ジャパンSDGsアワード受賞団体の傾向
ジャパンSDGsアワードには4つの賞があります。これまでの受賞団体から各賞の傾向をつかみ、入賞を狙うときのポイントとして参考にしてみてください。
SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞
過去に受賞した団体はいずれも「働きがいも 経済成長も」「つくる責任 つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」を貢献目標に含んでいました。第2回に受賞した株式会社日本フードエコロジーセンターは、「食品ロスに新たな価値を」という企業理念のもと、食品廃棄物を飼料として再利用するビジネスモデルを起案。「働きがいも 経済成長も」「つくる責任 つかう責任」を含む7つの貢献目標を掲げていたことが評価されました。
SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞
「パートナーシップで目標を達成しよう」を貢献目標に含む団体が最も多く、他にも「すべての人に 健康と福祉を」「働きがいも 経済成長も」「つくる責任 つかう責任」を達成目標としている団体が多い傾向にあります。受賞団体も企業以外であることが多く、第1回の受賞団体のひとつは「特定非営利法人 しんせい」。東日本大震災での原発事故の影響で避難を余儀なくされた人の中でも、取り残されやすい障がいのある人達の支援をめざすという活動が評価されました。
SDGs推進副本部長(外務大臣)賞
外務大臣賞であるためか、途上国への国際協力が高く評価される傾向にあるようです。貢献目標にも「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」が含まれていることが多くなっています。第3回の受賞団体のひとつである「特定非営利法人 TABLE FOR TWO International」は、対象食品の売り上げの一部をアフリカの子供たちに給食を届けるための寄付にあてる「おにぎりアクション」を実施しました。
SDGsパートナーシップ賞(特別賞)
「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」を貢献目標に含む企業・団体が受賞する傾向が強く、第1回から学校などの教育機関が受賞する確率が高くなっています。第1回の受賞団体には、株式会社伊藤園、吉本興業株式会社といった有名企業も含まれていました。
ジャパンSDGsアワードに応募するには?

応募方法は、指定の応募フォーマットに必要事項を記載して「外務省国際協力局地球規模課題総括課 ジャパンSDGsアワード担当」までメールするだけです。指定のエクセルフォーマット以外は認められておらず、参考資料に動画やホームページを提示することはできません。募集要項をしっかりと確認して応募しましょう。
応募対象はSDGsに関する取り組みをおこなっていることですが、活動単位ではなく企業または団体等の単位に限られます。応募は1企業ないし1団体まで。第1回の受賞団体には17のゴールすべてを貢献目標としている団体もいましたが、その後制限されたため、現在、貢献目標は5つまでとなっています。貢献目標が多いからといって受賞の可能性が高くなるわけではないので注意しましょう。
応募期間と流れ
応募期間は、8月上旬から9月の末までで、受賞者は12月の中旬ごろに決定します。受賞結果と表彰式は、12月の末ごろに、総理大臣官邸で行われます。
翌年の1月ないし2月に、受賞した各企業・団体は取り組み内容を発表する場に参加できます。発表会は「ジャパンSDGsアワード報告会」という名称で、受賞した他の企業・団体のプレゼンテーションに触れる機会があります。
ジャパンSDGsアワードの評価項目
ここからジャパンSDGsアワードの評価項目について解説します。SDGsの実施指針である5つの原則と照らし合わせ、各企業や団体の取り組みが評価されます。
- 普遍性
- 包摂性
- 参画型
- 統合性
- 透明性
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1.普遍性
・国際社会においても幅広くロールモデルとなり得る取組であるか
・国内における取組である場合,国際目標達成に向けた努力としての側面を有しているか
・国際協力に関する取組である場合,我が国自身の繁栄を支えるものであるか
2.包摂性
・「誰一人取り残さない」の理念に則って取り組んでいるか
・多様性という視点が活動に含まれているか
・ジェンダーの主流化の視点が活動に含まれているか
3.参画型
・脆弱な立場におかれた人々を対象として取り込んでいるか
・自らが当事者となって主体的に参加しているか
・様々なステークホルダーを巻き込んでいるか
4.統合性
・経済・社会・環境の分野における関連課題との相互関連性・相乗効果を重視しているか
・統合的解決の視点を持って取り組んでいるか
・異なる優先課題を有機的に連動させているか
5.透明性と説明責任
・自社・団体の取組を定期的に評価しているか
・自社・団体の取組を公表しているか
・公表された評価の結果を踏まえ自社・団体の取組を修正しているか
(引用元:外務省ウェブサイト)
これまで表彰された企業や団体の業種は様々で、開催数も少ないため傾向をつかむのは難しいかもしれません。しかし、SDGsの理念をしっかりと理解して、主体的に取り組むことが大切といえるでしょう。
詳しくは、サイトを確認してください。
まとめ

SDGsアワードについてご紹介しました。SDGsアワードは、SDGsに関する取り組みをおこなっている企業・団体の中でも優秀な活動をおこなっている組織に対し、国から認められる貴重な賞です。受賞すれば先進的で貢献的な活動をおこなっているとして、企業・団体のイメージアップにつながるでしょう。
応募するだけでもSDGsに関する理解を深められるため、興味のある方は是非チャレンジしてみてくださいね。