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社長の平均年収は?中小企業社長の年収、給料の決め方と注意点を解説

女社長のイメージ

社長の平均年収は、企業形態によって数百万円から数千万円と大きく変動するのが特徴です。従業員の給与とは異なる特性を持ち、原則として金額は毎月固定されています。本記事では、社長の平均年収とあわせ、社長の給料の決め方や決める際の注意点を解説していきます。

社長の平均年収はいくら?

社長の平均年収のイメージ

社長の平均年収は、上場企業で約5,500万円、中小企業で約580万円です。両者には大きな金額の差があり、男女の性別によっても違いが見られます。

中小企業で2,500万円以上の報酬を得ている社長は、全体の1.4%とごくわずかなことも特徴です。まずは、企業形態ごとの社長の平均年収について確認していきましょう。

上場企業社長の報酬中央値は5,552万円

東証一部上場企業を中心とした調査によると、2018年度の社長の平均報酬額は5,552万円です。これは、前年の5,435万円の2.2%増にあたる額であり、役位別でみると次のような違いがあります。

役位

金額(万円)

会長

59,760

社長

55,519

副社長

48,288

事務

38,430

常務

31,200

取締役

21,600

執行役員

20,097

同年の民間給与実態調査による一般的な平均年収は、441万円です。つまり、社長の給与は日本人の年収の約13倍にあたることが確認できます。

また、売上高1兆円以上の企業における社長の平均報酬は、9,855万円です。東証一部上場企業の額と比較すると、1.77倍の額を得ていることが分かっています。

中小企業社長の平均年収は582万円

国税庁の民間給与実態調査によると、中小企業の役員の平均給与額は582万4,000円です。性別ごとの違いで見ると、男性は674万8,000円、女性は372万2,000円と300万円近い差があります。

前述したように、日本人の平均年収は約440万円です。上場企業の平均年収が5,000万円を超えることを考えると、中小企業社長の平均年収は低く感じる部分もあるかもしれません。

中小企業の全役員187万人のうち、もっとも多いのは年収200万円以下にあたる約26万人です。年収2,500万円を超える役員は約2万7,000人と、全体の1.4%を占めるにとどまっています。

参考:三井住友信託銀行株式会社「『役員報酬サーベイ(2018年度版』について」

参考:令和元年分「民間給与実態統計調査」

そもそも社長の給料とは?

お金という文字のイメージ

社長の給料は、役員報酬を意味します。役員報酬は従業員の給料と異なり、利益の増減によって月々変動することはありません。そのほか、税金の支払いに関してもそれぞれ違いが見られます。

そもそも、社長の給与とはどのように決定し支払われるのでしょうか。詳しい内容や税金の仕組み、手当てについて確認していきましょう。

社長の給料は固定された役員報酬

社長は「代表取締役」として、役員報酬を会社から受け取ります。社長の報酬は、会社法361条により、株主総会の決議によって決定するのが一般的です。

法人の社長と個人事業主の大きな違いは、社長の報酬が「給与」扱いになることです。そのため、税金を申告する際に「給与所得控除」を活用できます。

「給与所得控除」は、給与から所得税法で定められた額を差し引く仕組みです。控除額に対して所得税を決定するため、社長個人として節税効果を得られます。

ボーナスは経費にならない

社員に支払うボーナスは、経費として認められます。一方、役員に支払う役員報酬は経費として認められず、課税対象になるのが特徴です。

また、役員報酬は原則として1年間金額を固定しないと経費として認められません。利益が見込めるからと役員報酬を引き上げても、すぐには経費の対象にならないため注意しましょう。

さらに、役員である社長は労働者ではないため、残業手当や休日手当はつきません。新たに起業する際は、社長と従業員ではボーナスや給与の仕組みに違いがあることを理解しておきましょう。

社長の給料の決め方3つの観点

給料の決め方のイメージ

新たに社長の給料を決めるときは、次の3つの観点を意識する必要があります。

  1. 資金を残すことを見越して決定する
  2. 税負担を観点に決定する
  3. 従業員の給料を考慮して決定する

社長の給料額は企業によって異なり、どの企業にも等しく正しいと考えられる決定法はないからです。新たに社長の給料を決めるときには、これら3つの観点を意識することが企業の成長と安定へとつながります。

1.資金を残すことを見越して決定する

社長の給料は、今後の資金調達や事業への投資を視野に入れながら決定します。前述したように、社長の給料が増えればそのぶん節税効果を期待できます。一方で、社長個人の手取りが増えれば、会社全体の利益は減少してしまいます。利益の増減によっては、必要な資金が手元に残らない場合もあるでしょう。

財務基盤が不安定になると、資金調達の際に不利に働く可能性もあります。事業の成長のためにも、投資や資金調達は必要です。社長の給料を決定するときは、将来の投資や資金調達のために、資金を残すことを見越しておきましょう。

2.税負担を観点に決定する

社長の給料には、会社全体の税負担が関係してきます。役員報酬が増えれば、法人全体の利益が減少し、法人税の支払額を減らすことができるからです。一方、社長個人の所得は増えるため、個人の税負担は大きくなります。それならばと役員報酬を少なくすれば、今度は法人全体の税負担が大きくなるでしょう。

社長の給料は、これらの税の仕組みやバランスを考えながら決定するのもひとつの方法です。法人税の負担を抑えたいときには、役員の報酬を増やす方法が考えられます。社長個人の税負担を抑えたいのであれば、役員報酬を少なくする選択肢もあるでしょう。

これらのバランスは、企業形態や事業規模によって異なります。社長の給料を決定するときは、自分の企業に最適なバランスを見極めることが大切です。

3.従業員の給料を考慮して決定する

社長の給料と従業員の給料に大きな差があると、従業員のモチベーション低下につながります。そのため、社長の給料を決めるときは、従業員の給与とのバランスを考慮することも必要です。

はっきりとした金額を決めかねるときは、自社と同規模の企業の給与を調査してみましょう。同程度の額に設定し、企業の成長に合わせ報酬をアップさせていくのもひとつの方法です。


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社長の年収を決めるときの注意点3つ

注意点のイメージ

社長の年収を決めるときは、次の3つの注意点を理解しておく必要があります。

  1. 前職の給与をベースにしない
  2. 生活費をベースに決定するのはNG
  3. スタートを0に設定しない

いずれも起業時にしてしまいがちですが、企業の成長のためには避けておきたい方法です。注意したい理由と合わせ、ひとつずつ確認していきましょう。

1.前職の給与をベースにしない

前職の給与と新たな企業の給与には、確かな因果関係はありません。そのため、前職の給与をベースに社長の給与を決定するのは避ける必要があります。

前職の給与をベースに役員報酬を決定し、その後金額を変更する際は、株主総会による決議が必要です。金額を変更するためには、それ相応の理由も求められます。前職の給与をベースに報酬を決定していた場合は、変更理由に確かな根拠が得られない可能性があるため注意しましょう。

2.生活費をベースに決定するのはNG

前職の給与と同じ様に、月の生活費と役員報酬にもはっきりとした因果関係はありません。生活費は、状況に応じて上下する可能性があります。一方、役員報酬は原則として毎月変動しないものです。そのため、生活費をベースに役員報酬を決定するのは適さない方法だと考えられます。

例えば、生活費が多く必要になったからといって、役員報酬を簡単に引き上げることはできません。前述したように株主総会の決議が必要であり、役員報酬を簡単に変更できないことを覚えておきましょう。

3.スタートを0に設定しない

役員報酬のスタート額を0円に設定するのは、決め方として避けたい方法です。役員報酬は、利益を生み出した対価として得る金額です。新たに起業し事業を拡大するのであれば、それ相応の役員報酬を設定しておく必要があります。

また、役員報酬0円に設定すると、節税効果を得ることができません。社長の給与の特性を生かし法人全体の節税効果に繋げるためには、0円ではなく決まった額を設定するのがおすすめです。

まとめ

全員で頑張るイメージ

社長の給料は、企業形態によって大きく異なります。正しい決め方があるわけではなく、税金の支払いや業界の特性など、様々な要素をふまえて決定するのが特徴です。

新たに社長の給料を決定するときには、前職の給与や生活費をベースに決定するのは避けたい方法です。企業の成長と安定のためにも、自社に最適と思われるバランスを見極めながら検討を重ねていきましょう。