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役員報酬の相場は資本金ごとに異なる!報酬の決め方についても解説

お金の計算のイメージ

役員報酬には相場があり、資本金など会社の規模によって異なります。経費に計上できるのは、毎月同じ金額で支給するなどの制限があるため注意しなければなりません。

本記事では、役員報酬の相場について説明し、決めるポイントについても紹介します。

役員報酬とは?

お札を数える人のイメージ

役員報酬とは、取締役や監査役などの役員に支給する報酬です。役員報酬について検討する前提として、そもそも役員の範囲はどこまでなのかを確認しなければなりません。役員報酬を会社の経費として計上するためには、定期同額の支給であることが必要です。

また、会社が支払う報酬には従業員給与がありますが、役員報酬とはどう違うのかも把握しておきましょう。

役員の範囲

役員報酬の「役員」とは、次の5つです。

  • 取締役
  • 会計参与
  • 監査役
  • 執行役
  • 会計監査人

取締役は業務執行に関する意思決定を行う者で、取締役会を設置している会社では代表取締役が業務執行にあたります。会計参与は会社の会計に携わる者で、決算書の作成が任務です。一般的に、税理士や公認会計士などが担当します。

監査役は会社が法令を遵守しているかを確認する役割があり、取締役や会計参与の職務執行を監査します。執行役とは、指名委員会等設置会社という形態をとっている株式会社のみに置かれる役員です。会計監査人は大会社や委員会等設置会社に義務付けられた役員で、計算書類などの会計監査を行います。

定期同額支給が原則

役員報酬は、「定期同額支給」が原則です。事業年度の各支給時期において、支給額が同額でなければなりません。それにより、初めて報酬を経費に計上できます。

毎月同じ金額が定められているという点では従業員の給与と同じですが、役員報酬は残業代や賞与によって受け取る額が変わるということはありません。毎月必ず一定額の支給をすることが必要です。

従業員給与との違い

役員報酬と従業員の給与は、経費計上の点で異なります。従業員の給与は全額を経費に計上でき、法人税の節約が可能です。一方、役員報酬は定期同額支給にしなければ経費に計上できません。

仮に、自由に役員報酬の支払いができるとした場合、利益が多く出た場合に役員報酬を増やし、法人税を減らすといった操作ができてしまうからです。そのような運用を避けるために、経費に計上できる場合の厳しいルールが設けられています。

役員報酬の相場

計算する人のイメージ

役員報酬は毎月同額にしなければなりませんが、具体的な金額は株主総会で決定します。金額を定める基本的なルールはなく、上限が法律で定められているわけではありません。しかし、明らかに不当な高額と判断された場合は、税務署から経費計上を認められない場合もあるため注意が必要です。

役員報酬の相場については、国税庁の統計で確認できます。平成30年の調査結果は次の通りです。

資本金額 2,000万円未満 2,000万円以上 5,000万円以上 1億円以上
役員報酬 534万円 748万円 1,035万円 1,210万円

参考:国税庁「第7表 企業規模別及び給与階級別の給与所得者数・給与額(役員)

資本金の大きさに比例して報酬も高くなるという結果になっています。役員報酬を決める際は、会社の資本金を考慮しながら、相場と比較して高すぎることのないよう注意しなければなりません。

役員報酬を決める4つのポイント

給与を計算する人のイメージ

役員報酬の決定方法にはルールがあり、まず株主総会の決議を経なければなりません。そのあと、取締役会で決議を行うなどの手順を踏むことになります。

金額の決定には、保険料や法人税などとのバランスも考えなければなりません。経費に計上するためには高すぎないこと、4ヶ月目以降に変更しないことなどの注意点もあります。

1.株主総会の決議で決定する

役員報酬の決定は、会社設立の場合、設立から3ヶ月以内に臨時株主総会を開いて役員報酬の総額を決定します。それ以外の場合は、年度始めから3ヶ月以内に定時株主総会を開き、役員報酬の増額や減額を決定するのが通常です。各役員に対する報酬額の決定は、取締役会または代表取締役に一任されるケースが多くなります。

役員報酬を決定する際は、税務調査が入った場合にも説明できるよう、議事録を作成・保存しなければなりません。

2.保険料や法人税とのバランスを考える

役員報酬を決める際には、保険料や法人税とのバランスを考える必要があります。役員報酬を支給すると会社の利益が減り、会社が支払う法人税も少なくなります。一方、報酬を受け取る役員は所得税や社会保険料を負担しなければなりません。

報酬を多く支給すれば法人税は減るものの、それだけ役員の負担が大きくなるということです。どちらか一方に負担がかかりすぎないようにするためには、バランスを考えた金額の設定が必要になるでしょう。

3.不当に高すぎないようにする

役員報酬は資本金など会社の規模から見て、不当に高すぎることがないようにしなければなりません。相場に比べて高すぎる場合、税務署に経費の計上を認められない可能性があります。

経費計上ができない分、会社の税金負担が大きくなるでしょう。それだけでなく、支給された役員にも所得税の負担があるため、税金を二重に支払う結果にもなります。

4.変更は期首から3ヶ月以内

役員報酬を変更できる時期は、事業年度開始である期首から3ヶ月以内と決められています。4ヶ月目以降に変更すること自体は可能ですが、その場合は報酬を経費に計上できなくなるため注意しましょう。

増額だけでなく、減額の変更も特別の事情がない限りはできません。業績が悪化したからといって簡単に変更することはできないため、報酬の決定は慎重に行う必要があります。

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経費に計上できる役員報酬

事務所の様子のイメージ

役員報酬を経費に計上するためには、毎月同じ金額を支給する定期同額支給であることが必要です。それ以外に、賞与などの臨時報酬は原則として計上できません。しかし、一定の要件を満たせば経費に計上できる場合があります。

ここでは、定期同額給与の内容と賞与の支給で経費計上ができる場合について説明し、さらに会社の業績と連動して支払う給与について紹介しましょう。

定期同額給与

会社が経費に計上できる給与は、基本的に定期同額でなければなりません。事業年度の期首から期末まで同額でなければなりませんが、次のケースでは例外的に金額の変更が認められています。

  • 期首から3ヵ月以内における変更で、変更後から事業年度末まで同額であるもの
  • 役職の交代により役員の職務内容に重要な変更があるなど、役員報酬の変更にやむを得ない事情がある場合
  • 経営状態が著しく悪化したことにより、役員報酬を引き下げる場合

上記以外の変更をした場合、役員報酬の経費計上はできなくなります。

事前確定届出給与

役員に支給される賞与は原則として経費計上できません。しかし、「事前確定届出給与」として支給前に時期と金額を税務署へ届け出れば、賞与も経費として認められます。
事前確定届出給与として認められるためには、次の2つのうち早い時期までの届出が必要です。

  • 株主総会で役員賞与についての決議をした日から1ヵ月後
  • 事業年度の期首から4ヵ月後

また、届け出た金額と時期は厳守しなければならず、金額や支給日が異なる場合は経費計上が認められなくなるため注意しましょう。

この他に、会社の業績に連動して決まる役員報酬も経費に計上することができます。ただし、株式のほとんどを親族で所有しているような同族会社には認められていません。

まとめ

デスク上のパソコンのイメージ

役員報酬の相場は資本金の大きさに比例しており、それよりも高すぎる場合は経費に計上できない可能性もあるため注意が必要です。報酬を決定する際は、法人税と保険料などとのバランスも考えなければなりません。経費計上できるのは定期同額支給が原則で、事前に届け出れば賞与の計上もできます。記事も参考に、適切な額の役員報酬を定めて節税に役立てましょう。