心理的財布とは、物理的に所持している財布は一つだけというのが基本になりますが、「実は心理的には複数の財布を所持している」というのが、心理的財布になります。
人間の心に備わっている心理的財布について詳しく紹介していきます。
ものやサービスを売る際の心理的財布の攻略法などについて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
マーケティングやセールスにしっかりと取り組んでいるにも関わらず商品が思うように売れない場合、
多くの企業やマーケティング・セールスの担当者は、よりマーケティング活動やセールス活動に力を入れるべきだと考え、露出を増やすために広告費を増やそうと考える傾向にあります。
また、最近ではSNSを活用することが当たり前になってきているのでSNSを活用しようと考えたり
、オウンドメディアを用意するのが流行っているので、「オウンドメディアを用意すればいいんだ!」と考える企業も少なくないでしょう。
その考え方は決して間違ってはいませんが、その商品の魅力がイマイチ消費者にしっかりと伝わっていない場合、
いくら広告費を増やしたり、SNSやオウンドメディアに力を入れたりしたとしても商品が売れることはありません。
商品を売るためには、その商品の魅力をしっかりと伝え、消費者に「この商品を購入するためならいくらでもお金を出してもいい」と思わせることが大切なんです。
そして、消費者にそう思ってもらえるようなマーケティングやセールスを展開していくために知っておいてほしい消費者心理が、今回紹介していく「心理的財布」です。
この記事では、商品やサービスをしっかりと売っていく上で避けては通れない消費者心理である、「心理的財布」について詳しく紹介していきたいと思います。
マーケティング活動やセールス活動にしっかりと取り組んでいるにも関わらずイマイチ商品の売れ行きが良くないと頭を抱えている企業や担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
心理的財布とは
心理的財布とは、人間の心理を表すマーケティング用語の一つです。
私たちが商品を購入する場合、物理的に所持している財布は一つだけというのが基本になりますが、
「実は心理的には複数の財布を所持している」
というのが、心理的財布の考え方になります。
何らかの商品やサービスを買った消費者が感じる感情、「満足感」や出費での「痛み」は、支払った金額に比例して大きくなるわけではありません。
感情は支払った金額ではなく、購入したものの種類、またはそれがどのような状況で購入されたかによって変わります。
例えば、何かしら商品を購入する際、それが自分にとって必要ではあるもののあまり欲しいと思えないものであれば、
できるだけ安いものを購入しようと考えたり購入するのを渋ってしまいがちです。
一方、その商品が心から欲しいと思わる商品である場合は、どれだけ高い商品であっても購入してしまう傾向が強くなります。
また、心理的財布は体験にも適用されます。
例えば、好きな人との食事や気の合う友人・知人との飲み会であれば多少高くついても後悔することはありませんが
、嫌々参加するような会社の飲み会や上司との飲み会には安くても参加したいとは思わないでしょう。
このように、消費者は知らず知らずのうちに心の中にいくつもの財布を抱えてしまっているわけです。
心理的財布には4つのパターンがある
消費者が商品を購入したりサービスを利用したり、何かを体験したりするときに作用する心理的財布ですが、心理的財布には4つのパターンが存在しています。
商品やサービスを売る場合には、この4つのパターンを理解しておくことがとても重要になってきますので、しっかりと理解しておくようにしてください。
それでは、それぞれのパターンについてみていきましょう。
1. 個人間と商品間にともなう心理的財布
心理的財布のパターンの一つ目が、個人間と商品間にともなう心理的財布のパターンです。
これは購入する人が異なっていて、なおかつ購入する商品も異なっている場合に適用されるパターンになります。
例えばパソコンを購入する場合、Aさんは快適に操作できることを第一に考え、高スペックのものを選ぶため、20万円ぐらいまでであれば出してもいいかなという心理になります。
一方、Bさんはネットサーフィンぐらいにしか利用しないため、10万円でも高いと感じてしまいます。
このように、人や購入する商品によって心理的財布の大きさが異なってくるわけです。
2. 個人間と商品内にともなう心理的財布
心理的財布のパターンの二つ目が、個人間と商品内にともなう心理的財布のパターンです。
これは、購入する人が異なっていて、なおかつ購入する商品は同じという場合に適用されるパターンになります。
フィギュアを例にしてみていきましょう。
フィギュアが好きでフィギュアを集めるのが趣味という男性がいたとします。
この男性にとってフィギュアはとても価値のあるものであるため、フィギュアにはいくらでも出せてしまいます。
一方、フィギュアに全く興味がない別の男性の場合だと、フィギュアには全く興味を感じません。
そのため、どれだけレア度の高い価値のあるフィギュアであっても、一円も出したくないという心理が働いてしまうわけです。
3. 個人内と商品間にともなう心理的財布
心理的財布のパターンの三つ目が、個人内と商品間にともなう心理的財布のパターンです。
これは、購入する人が同じで、なおかつ購入する商品が異なっている場合に適用されるパターンになります。
例えば、音楽制作が趣味の男性がいたとしましょう。
この男性は音楽制作が大好きで、音楽制作にともなう出費であればいくらお金を消費してしまったとしても痛いとは感じません。
しかし、これが会社で必要になる資格の取得のための出費となると、途端に財布の紐が固くなってしまいます。
できるだけ安い参考書を購入しようと考えたりしてしまうわけですね。
このように、購入する人が同じであっても、購入する商品によって出せる金額が異なってくるわけです。
4. 個人内と商品内にともなう心理的財布
心理的財布のパターンの四つ目が、個人内と商品内にともなう心理的財布のパターンです。
これは、購入する人が同じで、なおかつ購入する商品も同じである場合に適用されるパターンです。
例えば、ある女性に好意を抱いている男性がいたとしましょう。
もし仮にこの男性が意中の相手と食事をすることになった場合、多少高いお店であっても、その意中の女性が喜んでくれるのであれば、躊躇することなくそのお店を予約するでしょう。
その一方で、会社の上司や取引先との会食など、仕事上の付き合いで参加しないといけないような食事で同じ店に行く場合、途端に高いと感じてしまうようになります。
このように購入する人が同じで購入する商品が同じであったとしても、心理的財布の大きさは異なってくるわけです。
心理的財布の応用例
ここでは価格設定により引き起こされる、消費者の心理について解説します。
・端数価格
商品の価格は、きりのいい数字よりも端数の方が安く感じられます。
例えばスーパーでは、100円、200円などのきりのいい価格ではなく、98円や298円などの端数の価格が多く見られます。
差額は少しですが、2000円よりも1980円、30000円よりも29800円の方がお得に感じてしまいます。
・名声価格
高い価格をつけることで、商品の価値を高めることができます。
例えば世界的にも有名なブランド品は、価格を抑えてしまうと商品の価値が下がってしまうばかりか、偽物だと感じられる場合もあります。
・均一価格
いまや日本中に普及した100円ショップがこれにあたります。
近年は100円のお店だけではなく、300円均一、500円均一のお店も見られます。
どの商品を選んでも100円という安心感と安価な価格により、お得に感じてつい必要のないものまで購入してしまう人間の心理があります。
心理的財布を大きくしてあげることで消費者はいくらの商品であっても購入してくれるようになる
さまざまなパターンのある心理的財布ですが、
購入する理由を作って心理的財布を大きくしてあげることができれば、消費者はいくらの商品であっても購入してくれるようになります。
そして、その購入する理由作りに効果を発揮してくれるのが、ベネフィットです。
ベネフィットというのは、その商品を購入することで得られる未来を指す言葉です。
ヒゲの脱毛を例にしてみていきましょう。
ヒゲの脱毛には、脱毛することでヒゲがなくなるというメリットがあります。
でも、ヒゲの脱毛を検討している人のほとんどはヒゲを脱毛したいわけではありません。
ヒゲを脱毛することで得られる、ヒゲ剃りの手間からの解放や清潔感、ヒゲが濃いというコンプレックスを解消することで得られる自信などを手に入れたいわけです。
しかし、ヒゲの脱毛を検討している人のほとんどは、このことについて気づけていません。
つまり、潜在的なニーズということになるわけです。
そのため、ヒゲの脱毛を考えている人にヒゲの脱毛を受けようと決意させるためには、ヒゲを脱毛することで得られる素晴らしい未来を想像させてあげることがとても重要になってくるわけです。
ベネフィットを感じさせることができれば、例え数万円するようなヒゲ脱毛であっても、喜んでお金を出してくれるようになりますよ。
まとめ
マーケティング活動やセールス活動にしっかりと取り組んでいるにも関わらず、
イマイチ商品の売れ行きが良くないと感じている企業や担当者のために、商品を売る上で絶対に把握しておくべき消費者心理である
「心理的財布」について詳しく紹介してきました。
今回紹介してきたように、消費者に商品を購入してもらったりサービスを利用してもらうためには、消費者の心理的財布を緩めてあげることが何よりも重要になってきます。
逆に消費者の心理的財布を緩めてしまうことさえできれば、どれだけ高い商品やサービスであっても売っていくことは可能だということです。
ですので、この記事で紹介した心理的財布の4つのパターンと人が商品を購入する2つのパターンをよく理解し、
消費者が商品を購入したりサービスを利用する「理由」をしっかりと作ってあげることを意識しながら、マーケティング活動やセールス活動をおこなっていくようにしましょう。